外壁塗装の見積りを見た時に、「諸経費や産廃処分費って何?」と思った方は多いのではないでしょうか。
見積りには多くの場合で諸経費や産廃処分費が計上されています。
内訳もなく記載されており、お施主様の立場からすればとても不透明な項目に見えるかもしれません。
「諸経費とはいったい何なのか」「どういったことに使われているのか」「金額は妥当なのか」「本当にこちらが負担しなければならないのか」など、不安や疑問を持たれる方も多いことでしょう。
そこで今回は、外壁塗装の見積りにおける諸経費や産廃処分費について詳しく解説したいと思います。不透明な部分をご理解いただくことで、塗装業者の姿勢を判断する材料にもなりますので是非お読みください。
目次
諸経費とは
はじめに、諸経費について説明します。
諸経費とは現場管理費(現場でかかる経費)と一般管理費(会社運営でかかる経費)の二つに分けられます。その例を挙げると、
現場管理費
- 労務管理費
現場管理作業員の人件費、作業用具費など - 租税公課
契約書の印紙代など - 保険料
請負業者賠償責任保険、労災上乗せ保険など - 通信交通費
材料運搬費、交通費、駐車料金など - 補償費
近隣対策費など
一般管理費
- 労務費
営業、社内管理にかかる人件費など - 減価償却費
車両の償却費など - 広告宣伝費
チラシやWEBの広告費用など - 事務用品費
事務用消耗品費用など - 事務所家賃
このような費用などが挙げられます。
いずれも会社や現場を運営する上で必要な経費ですが、内訳全てを見積に記載するとかなりの量になってしまうため、諸経費としてひとまとめにしています。
どのくらいの諸経費を計上するかは塗装業者により異なりますが、工事金額の5%~15%ほどが多いと言われています。
会社の事業規模などによっても大きく異なる費用ですので、多く計上する業者もありますし、まったく諸経費を計上しない業者もあります。
諸経費を取らない塗装業者は優良なのか?
もちろん施主にとっては、余計な費用がかからない方がいいでしょう。
また人によっては、「なぜ施主が諸経費を負担しなければならないのか」と感じる方もいるかもしれません。
見積書に諸経費を計上していない業者は一概に優良業者なのでしょうか。
諸経費は会社や現場を運営する上で必要な費用
先にも述べたように諸経費は会社や現場を運営するうえで必要な費用です。
施主から支払っていただく工事代金が塗装業者の売上の全てである以上、諸経費という項目を見積りに入れている・入れていないに関わらず、諸経費は工事代金の中から捻出しているはずです。
ですので、諸経費を計上しないということは次の 2 つの場合が考えられます。
①かかる費用を削り諸経費に充てている
まず 1 つ目は、必要な費用を削って諸経費を捻出している場合です。
人件費や材料費など何かしらを削って諸経費に回すということは、工事の質が下がることに繋がる恐れがあります。
②諸経費として計上せず、見積りのどこかに上乗せして諸経費分を回収している。
そして 2 つ目は、諸経費として計上せず、他の項目に上乗せすることで諸経費分を回収している場合です。
諸経費という項目が無いだけで、施主が支払う金額は同じです。
「ウチは諸経費をいただいていません」と謳う業者と、諸経費として正直に計上し、かつ諸経費がどういったものなのかを説明できる業者、どちらの業者の方が誠実であり信頼できる業者でしょうか。
産廃処分費とは
諸経費以外にかかる費用として挙げられるのが産廃処分費です。
塗装工事で出た廃棄物のほとんどは産業廃棄物に分類されるため、通常のゴミとして出すことができません。この廃棄物の処理にかかる費用のことを産廃処分費といいます。
塗装業者によっては諸経費の中に産廃処分費を含んでいる場合もあり、見積りに産廃処分費の項目がない場合もあります。
塗装工事における産業廃棄物とは
塗装工事で出る廃棄物は余った塗料、塗料缶、養生したシートやテープ、使用済みローラーや刷毛を洗った有機溶剤、サイディング外壁であれば撤去した旧シーリングなど数多くあります。
屋根の葺き替えや外壁の張り替え工事などがあると、廃材の量は更に増えていきます。
これらの廃棄物は専門の産廃処理業者が回収・処理します。
余った塗料はひと缶ごとににいくら、その他の廃棄物はキロあたりいくら、といった処理費用がかかります。
産廃処分費を支払わない塗装業者はどうなる?
塗装工事には必ず産業廃棄物が出ます。
もし、産廃処分費用を惜しんで産業廃棄物を不法に投棄すれば、5年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金という厳しい罰則が廃棄物処理法で規定されています。
産廃処分費以上のリスクを覚悟してまで、産廃処分費を支払わない塗装業者がいるとはまず考えられません。
産廃処分費を取らない塗装業者は優良なのか?
もし産廃処分費を取っていない見積りがあるとすれば、塗料の余りを使い回して廃棄物として出さないようにしているか、諸経費と同様に見積り内で分散させ計上しているかになります。
塗料は開封し空気や水分に触れると反応し硬化してしまうため、一度開缶した塗料はなるべく早く使い切ることを推奨しています。
保管期間にもよりますが、塗料の余りを使い回すというのは仕上がりや不具合の可能性を考えるとおすすめできません。
塗装業者はそのようなリスクを回避するため、現場ごとに余った塗料を処分する費用として産廃処分費を見積りに計上しているのです。
諸経費同様、きちんと見積りに計上している業者の方が誠実かつ安心といえます。
おわりに
今回は見積りに計上されている諸経費について、また諸経費に含まれることもある産廃処分費について解説しました。
見積り金額だけでは良い業者を判断することはできません。
施主目線で考えると、必要な費用が明確になっていることや、その根拠について説明できるということは信頼できる業者を見極める大事な要素になると言えます。
納得のできる工事をするためにも今回の記事を参考にしていただき、後悔の無い外壁塗装をしましょう。