外壁塗装の業者選びを進めている方の中には、塗装業者さんのホームページや業者さんの名刺に「建設業許可」が載っているのをご覧になったことがある方もいらしゃるかと思います。
「なんとなく持っていた方が良さそう」というイメージはあっても、具体的にどういったものなのか、ご存じない方がほとんどではないでしょうか。
今回は「建設業許可」について、その資格条件や注意点などをわかりやすく解説します。
目次
建設業許可は500万円以上の建設工事を請け負う場合に必要
建設業許可とは文字通り、建設業(建設工事の完成を請け負う営業)を行うために必要な許可になります。
許可を得ずに税込500万円以上の工事を請け負った場合は建設業法違反となり、懲役や罰金刑が科せられます。
建設業の営業所を2つ以上の都道府県に置く場合は国土交通省、1つの都道府県のみに営業所を置く場合は都道府県知事に許可を申請します。
建設業許可は全部で29業種(2021年2月現在)に分かれており、営む建設業の業種ごとに必要になります。
建設業許可に必要な資格条件
建設業の許可を取得するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
① 5年以上経営者としての経験のある管理責任者がいること
建設業界で5年以上経営者としての実務経験がある、もしくは6年以上経営業務の管理責任者を補佐する業務経験がある人。
経営者(個人事業主や役員含む)として十分な経験のある人を、管理責任者として置く必要があります。
② 専任技術者を雇用していること
専任技術者とは、要約になりますがこれらの要件を満たす人の事を指します
・許可を受けたい建設業の対象となる国家資格を取得している人
・許可を受けたい建設業で、10年以上の実務経験がある人
経営者自身が①、②の条件を満たす場合もあります。
③ 500万円以上のお金があること
建設業を請け負うためには、ある程度安定的に事業を経営できるだけの金銭的余裕が必要です。
そのため、決算書等を提出し500万円以上のお金がある(自己資本または資金調達能力)ことを証明する必要があります。
この他にも、誠実であること(不正または不誠実なことをしない)や、過去に許可を取り消された経歴がないことなどが、審査事項に含まれています。
塗装業者に建設業許可は必要? 不要?
先にも言いましたように、建設業許可は税込500万円以上の建設工事を請け負う場合に必要な許可になります。
税込500万円以上というと、大きな工事や公共工事などが該当します。
ですので、小規模な工事であれば建設業許可がなくても請け負うことは可能です。
一般的な住宅の外壁塗装工事で500万円も掛かる工事はそうそうありませんので、建設業許可がなくても塗装業を営むことは可能です。
ですが、建設業許可を取得するためには先程の通り、様々な条件をクリアする必要があります。
このことから、建設業許可を取得する条件を満たした業者は「経営力」「技術力」「経済力」「信用」などがあることの証明にもつながります。
ホームページに建設業許可が載っていれば安心……とは言い切れない?!
「お願いしようと思ってる塗装業者さんのホームページには建設業許可が載ってるから安心ね」
ここまでの説明を聞いて、そう思われた方もいらっしゃるかと思います。
ですが、その建設業許可、もしかして「期限切れ」や「取り消されている」などの可能性もあります。
建設業許可の有効期限は5年間
建設業許可の有効期限は、建設業法第3条で5年と規定されています。
期限までに更新申請をしなければ失効となり、再び取得するためには改めて新規で申請しなくてはなりません。
また、「不正を働き取り消されている」ケースや、家族経営で営んでいる塗装業者などでは、先代が取得していた許可の引き継ぎや取り直しを行っていない場合などもあるようです。
国土交通省のホームページで建設業許可業者を調べられる
国土交通省のホームページで建設業許可を取得している業者を検索することができます。
〈建設業者・宅建業者等企業情報検索システム〉
https://etsuran.mlit.go.jp/TAKKEN/kensetuKensaku.do
※知事許可業者については準備中とあるため、まだ掲載されていない業者もあるかもしれません。ご了承ください。
建設業許可業者名簿は各都道府県のサイトでも閲覧可能です。
「商号又は名称」に会社名を入力、もしくは「許可番号」を入力して検索して、検索結果に表示されれば建設業許可を取得している会社です。
社名をクリックすると、許可の有効期間や、許可を受けた建設業の種類などが閲覧できます。
検索結果に出ただけでは安心できない…見るべきポイント
検索結果に表示された会社が建設業許可を取得しているのは間違いありません。
そして、建設業許可を取得している時点で、ある程度「安心・信頼」できる会社であると言えます。
ですが、お願いしたいのは「住宅塗装工事」です。
大切なお住まいを本当に安心してお任せできる業者であるかどうか、見るべきポイントをご紹介します。
「社名」「代表者名」「所在地」は一致しているか
ホームページの会社案内や、もらった名刺などに記載された「建設業許可番号」から検索してみましょう。
検索結果に出てきた会社の「社名(商号又は名称)」「代表者の氏名」「所在地」は、それらの情報と一致していますか?
あってはならないことですが、許可番号を「転貸」しているケースもあるようです。
「塗装工事業」の許可を受けているか
先程も言いましたが、建設業許可は全部で29業種に分かれており、営む建設業の業種ごとに必要です。
その29業種の中に「塗装工事業」もあります。
お願いしようと思ってる塗装業者さんは「塗装工事業」の欄にチェック(数字)が入っていますか?
塗装業者を営み、いずれかの建設業許可を取得しているにも関わらず、「塗装工事業」の許可を受けていない業者であるとしたら、資格や実務経験などが、許可に必要な条件を満たしていない可能性もあります。
おわりに
建設業許可の資格条件や取得業者の検索方法について紹介しました。
建設業許可は主に大きな建設工事を請け負う場合に必要な許可であり、一般的な住宅塗装工事程度でしたら取得する必要は確かにありません。
高い知識と技術をもちながら、業務上必要性がないため取得していない塗装業者さんもいらっしゃいます。
ですので、外壁塗装の業者選びの際の、安心や信頼のひとつの目安の参考としていただければ幸いです。
※記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
健全な塗装業者選びについては以下の記事でも詳しく解説しています。