屋根・外壁塗装に同じ塗料はNG ? 「屋根用耐候性強化色」ならOK!

屋根塗装

お住まいの塗り替えを検討し、情報収集をされていく中で「屋根と外壁は異なる塗料で塗ったほうが良い」という記事やコラムを目にした方もいらっしゃるのでないでしょうか。

なぜそのように言われているのでしょう。

今回、その理由を塗料メーカーがわかりやすく説明すると共に、同じ塗料で屋根・外壁の塗装を可能にする「屋根用耐候性強化色」についてもご紹介いたします。

外壁塗装・屋根塗装を成功へと導く「理想の塗料選び」の参考になるかと思いますので、ぜひ最後まで目を通していただければと思います。

屋根と外壁では異なる塗料が推奨される理由

まず、一般的になぜ屋根と外壁では異なる塗料が推奨されているのか、その理由について説明します。

屋根と外壁では塗膜の劣化スピードが異なる

日本の四季には太陽光の入射角(太陽光が差し込む角度)が大きく影響しています。

ご存知かもしれませんが夏の太陽は冬に比べて高い位置にあります。
そしてその入射角度が90°に近づくほど受ける熱量も紫外線も多くなります。

これは建物についても同じであり、屋根と外壁では太陽に対する角度が違うので日射量は大きく変わってきます。

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「日射量データベース閲覧システム」を基に当社作成。
※※当社が想定した表現です。

上記グラフをご覧いただければ分かりますように、弊社の本社がある東京でも、単純な年間日射量の比較だけで屋根面と外壁面ではおよそ1.5倍の差があります。

塗膜が劣化してしまう大きな要因のひとつが紫外線であることは、これまでにも何度かお伝えしてきました。
つまり、屋根と外壁を同じ塗料で塗ると、耐候性(塗膜の寿命)に差が生じることになります。

屋根は外壁よりも耐候性の高い塗料が推奨される

なんとなく「お家まるごと同じ塗料で塗ったほうが経済的で安く済みそう」という印象をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、先ほど述べたように屋根は外壁より厳しい紫外線にさらされています。

もし、同じ塗料を使って屋根と外壁を同時に塗り替えた場合、何年か後に、外壁はまだまだ大丈夫なのに、屋根は塗り替えをしなくてはならない劣化状態が起きている可能性があります。

屋根を塗り替えるためには、たとえ外壁を塗らなくても足場を組む必要があります。
これは大変不経済であり、結果的に高く付いてしまいます。

そこで、住宅塗装においては塗り替え周期を合わせるために、屋根は外壁に使う塗料うよりも耐候性の高い(耐用年数の長い)塗料を使うケースが多いのです。

せっかく塗料を選んだのに使えない……!

インターネット上にあらゆる情報が溢れ、施主(塗装工事を依頼する家主)自らが塗料を選ぶ時代です。

情報収集していく中で、「我が家をこの塗料で塗り替えたい」と思えるような理想的な塗料に出会う機会もあると思います。

ですが、せっかく施主が希望した塗料であっても、塗装業者は塗り替え周期を考慮して、屋根には違う塗料、場合によっては意図しないメーカーの塗料を提案する可能性があります。

もちろん、これは施主のお住いのことを第一に考えたうえの提案だと思いますので、正しい判断とも言えますが、施主としては気に入った塗料が使えなかったモヤモヤとした気持ちが残るでしょう。

そこで、同じ塗料で、屋根も外壁も同じ耐用年数を維持させることを可能にするのが、今回紹介する「屋根用耐候性強化色」になります。

屋根用耐候性強化色とは

「屋根用耐候性強化色」とは、屋根用に特化した配合と調色方法で組み上げた屋根専用のカラーバリエーションです。

屋根用耐候性強化色の特長について説明します。

①耐候性に優れた顔料で調色

以前、外壁塗装の色(顔料)と色あせ(耐候性)の関係について紹介しました。

外壁塗装は色選びも楽しんでいただけるよう、さまざまな色調や艶に対応しています。
そのためには、赤や黄などの耐候性の弱い有機顔料も使わなければ再現できない色が多くあります。

屋根用耐候性強化色は外壁と同じ塗料を使いますが、外壁と同じ色調を日射条件の厳しい屋根に対して塗装すれば、有機顔料の劣化にともなって変色や退色は早まってしまいます。

そこで、屋根用耐候性強化色は、有機顔料を極力使わずに黒、茶(赤さび)、黄土などの耐候性の高い無機顔料で調色配合を組んでいます。

②光安定剤(HALS)を高配合し色あせの進行を抑制

屋根用耐候性強化色は、その顔料を守っている樹脂そのものが外壁の1.5倍の日射量に耐えうるように、塗料中の光安定剤の配合を増やすなどの工夫もされています。

光安定剤の役割についてはラジカル制御形塗料の記事で詳しく解説しています。

③耐候性を最大限に発揮するため「艶あり」のみ

「半艶」「3分艶」「艶消し」などの艶調整を行うためには、ベースとなる艶あり塗料に艶調整剤という添加剤を混ぜて調整する必要があります。

艶調整剤を加える分、塗料(塗膜)の耐久性や耐候性の要となる「樹脂」の量を減らさなくてはいけません。


屋根用耐候性強化色は、耐候性を最大限に発揮するために「艶あり」のみに対応しています
塗料の艶と耐候性の関係については以下の記事で詳しく解説しています。

屋根用耐候性強化色は、色や艶は外壁用ほどのバリエーションはなく、鮮やかな色もありません。

しかしそれはつまり、塗料本来の性能や機能を最大限に引き出し、厳しい環境下でいかに外壁と同じ劣化速度に近づけるかを考えた結果の、屋根専用のカラーバリエーションなのです。

大切な住まいのことを考えた“本当の”理想的な塗料とは

鮮やかな色もなく、色数も艶も制限された屋根用耐候性強化色は、塗り替えによる「見た目」を楽しみたいという方には、少し物足りないものなのかもしれません。

「理想的な塗料」を考えたとき、色や艶の自由度が高い塗料を理想とする人もいるでしょう。
また、汚れにくさや柔軟性、遮熱や断熱などの機能を備えた塗料を理想とする人もいるでしょう。
単純に、安い塗料が理想。という方もいるでしょうし、これらすべてを備えたものが理想だ。という方もいるかもしれません。

実は、これらの付加価値は本来塗料が持っている耐候性と引き換えに付与されているケースがほとんどです。

塗料の色や艶選びは施主主導である場合がほとんどですが、ここまで述べてきたように、その選択ひとつひとつが塗料の耐用年数に大きく影響してきます。

ご自身の色艶の好みや遮熱などの機能などにこだわりすぎるあまり、塗料が持つ本来の性能を損なわないよう、耐候性とのバランスも考えて選択していただくことが大切です。

おわりに

日本では30年前からの推移をみても、紫外線量はいまだ増加傾向にあります。

気象庁が観測しているUVインデックス8以上(紫外線量が多く外出を控えるべきとされる指数)の日数も増加の一途を辿っています。
参考:気象庁ホームページ「紫外線の経年変化」
UVインデックス:紫外線が人体に及ぼす影響の度合いをわかりやすく示すために、紫外線の強さを指標化したもの。

また、日本の平均気温は長期的にみると100年あたりで1.24℃の割合で上昇しており、その他大気汚染や異常気象など住宅を取り巻く環境は年々厳しくなっています。
参考:気象庁ホームページ「日本の年平均気温」

環境が厳しくなったからといって、住宅の立地条件を変えたり屋根の日射量を減らすことはできません。

本当にお住まいのことを考えた「理想的な塗料」についてお考えでしたら、塗装業者や塗料メーカーに屋根用耐候性強化色を一度相談してみてください。

屋根用耐候性強化色についてさらに詳しく知りたい方は弊社ホームページもご参照ください。https://prematex.co.jp/abouts/v/roofhrcolors