塗り替えをしたばかりなのに外壁に汚れが付いているのを発見!
「汚れに強い塗料と聞いていたのに……」
そのようなことにはなりたくないものですが、もしかしたらすでにそのような経験をされた方もいらっしゃるかもしれません。
実はそのような汚れの原因は、塗料の性能や施工不備などが原因とは限りません。
どんなに良い塗料で塗り替えをしようとも、お住まいを取り巻く様々な要素で汚れてしまうことがあるからです。
なぜ塗り替えたばかりなのに外壁が汚れてしまうのか、今回は外壁が汚れてしまう原因とその対策について解説したいと思います。
外壁が汚れてしまう原因
まず、なぜすぐに外壁が汚れてしまうのでしょうか?
その原因は大きく「部位や構造」によるものと、「環境条件」によるものに分けることができます。
順に紹介していきます。
1. 部位や構造によるもの
水切りがない壁や、笠木のないバルコニーの手摺
窓やサッシ下部にある水切りは外壁汚れを防止する役割があります。
また笠木は、バルコニーやベランダの腰壁よりも出っ張っているため、雨だれを防ぐ役割があります。
水切りや笠木が無いと雨水が外壁を伝ってしまうため、筋状の雨だれ汚れが付きます。
軒や庇(ひさし)が張り出していない外壁
近年、軒や庇(ひさし)がない作りの住宅も多くなっています。 軒や庇(ひさし)は雨や日差しから外壁を守る役割を果たしています。
軒や庇(ひさし)のない住宅はシンプルでおしゃれな見た目ではありますが、雨が直接外壁にあたるため汚れやすくなります。
2. 環境条件によるもの
周辺に川や雑木林がある
水分の多い川沿いの家などは湿気が溜まりやすいため、藻や苔が発生しやすくなります。
また、雑木林などが近くにあると、苔などの胞子が風に乗って外壁まで飛んでくるため、藻や苔が生えやすくなります。
同様に、日当たりや風通しの悪い場所も藻や苔が発生しやすくなります。
幹線道路沿いにお住まいがある
交通量の多い場所では自動車の排気ガスによる煤(すす)や粉じんが外壁につきやすく、汚れの原因となります。
3. 塗装時の材料や基材によるもの
下地からのブリード
ブリードとは、シーリング剤や塩ビ鋼板などに含まれる可塑剤が塗膜表面ににじみ出てくることで、汚れが付着する現象のことを言います。
塗膜と反応し黒ずんでしまったり、可塑剤で表面がベタベタしてしまうため汚れが付きやすくなります。
ブリードは、塗装をする際に可塑剤の移行を防ぐ下塗りを使用する、もしくはノンブリードタイプのシーリング剤を使用することで防止することができます。
4. もともとの外壁の仕上げによるもの
リシンやスタッコなどの仕上げ
リシンやスタッコと呼ばれる外壁の仕上げは、一般的に使われることが多いサイディングと比べて、凹凸のある外壁になるため隙間に汚れがつきやすくなります。
隙間に水が溜まり、藻や苔が発生する原因となることもあります。
外壁の汚れを防止する対策
ここまで述べたように外壁が汚れてしまう原因は様々ですが、塗料の性能や構造的な対策によって、汚れを軽減することは可能です。
ここでは3つの対策を紹介します。
1. 親水性が高い塗料で塗装する
撥水性や親水性という言葉を耳にしたことはないでしょうか? 親水性とは簡単にいうと、水に馴染みやすい性質のことを言います。
水をはじき玉のように水滴になる撥水性に対して、親水性とは水が水滴にならず薄く広がり膜を作ります。
自社製品『タテイルアルファ』の塗膜イメージ
親水性が高い塗料で塗装した塗膜は、雨や水をはじくことなく塗装面に薄く広がる(馴染む)性質を持っています。
親水性塗膜が形成されるメカニズム
少し専門的な話になりますが、塗料樹脂の中に含まれているアルコキシシランが空気中の水分と反応し塗膜表面にシラノール層を形成することで親水性の塗膜となります。
自社製品『タテイルアルファ』の塗膜イメージ
この親水性が低汚染性の大きなポイントとなります。
親水性の塗膜は水がよく馴染み広がるため、付着した汚れの下に雨水が入り込むことで汚染物質を浮き上がらせ、雨と一緒に流れ落とすことができるのです。
自社製品『タテイルアルファ』の塗膜イメージ
2. 硬度の高い塗料で塗装する
汚れは種類にもよりますが、塗膜に刺さるように付着します。
表面が硬く、尚且つ密度が高い塗膜は汚れを跳ね返し定着させない性質を持っています。
自社製品『タテイル』と一般塗料の塗膜比較イメージ
3. 笠木や水切りを設置
構造的な対策として、笠木や水切りの設置が挙げられます。
前述の通り、雨だれ汚れは外壁に汚れを含んだ雨水が伝うことで発生します。
笠木を取り付けて勾配を付けたり水切りを設置して外壁に直接雨水を伝わせないことによって、早期の雨だれ汚れを防止することができます。
おわりに
外壁の汚れの原因とその対策について解説しました。
覚えておいていただきたいのは、低汚染性を謳う塗料は汚れをつきにくくする機能を持っていますが、汚れない訳ではないということです。
外壁の汚れやすさは、塗料の性能以上に立地や構造など環境条件が大きく影響するのは、ここまで説明してきた通りです。
ですので低汚染性の塗料であっても、雨だれが常につたう場所では汚れが残りやすかったり、雨があたらない場所では親水性が発揮されず汚れが落ちないなど、塗り替えをしたばかりでも汚れてしまうケースがあります。
そのようなことをご理解いただき、塗装業者に相談のうえメンテナンスの計画を立てていただくことをおすすめします。