「月刊建築仕上技術」誌にインテグラルコートが掲載されました

「月刊建築仕上技術」にインテグラルコートが掲載されました
外壁塗装
「月刊建築仕上技術」にインテグラルコートが掲載されました

建築材料と工法を結ぶ国内唯一の総合仕上専門誌『月刊 建築仕上技術(株式会社工文社)』2021年10月15日発売号(VOL.47 NO.555)に、弊社製品インテグラルコートの記事が掲載されましたのでご紹介いたします。

専門誌のため専門用語も使われておりますが、ぜひお読みいただき、ご自宅の塗り替えの際にはこれからの新しい住宅塗装工法「4工程塗装」をご検討いただければ幸いです。


住宅塗装の完成形 4工程が業界の未来を照らす

はじめに

近年、住宅の塗替え市場では塗料や施工の高付加価値化が進んでいる。ハウスメーカーや施工業者からの提案に加え、自身でスマートフォンやタブレットで情報を検索し、より満足度の高い納得のいく施工を求めている。それにともない従来の製・販・装が主導するウレタン、シリコン、フッ素といったような塗料グレードによる単純な市場誘導はもはや限界がきていると言える(こちらの連載記事を参照)。

一方で、住宅用塗料の耐候性開発はフッ素化合物やケイ素化合物を使用した従来の手法から大きく進歩することなく、いわゆる「ラジカル制御(こちらの記事参照)」に代表される白色顔料(酸化チタン)や光安定剤などに焦点をあてた開発傾向となっており、依然として価格競争と微妙な耐用年数表記による争いの域を出ない。

下記に紹介する「インテグラルコート」は、住宅塗装における従来の3工程慣習を打破することで、成熟し行き詰まりを見せる塗料や仕様開発に一石を投じ、高付加価値を求める施主のニーズに幅広く応えることができる画期的な住宅塗装の完成形と言える。

開発背景

住宅の塗り替えにおいて施主が仕上りに求める要望や付加価値は様々である。しかしながら、あざやかな色、落ち着いた艶、耐候性、汚れにくさ、柔軟性、遮熱性能、作業性など、すべてを高次元でかなえるパーフェクトな塗料はない。

有機顔料を多用すれば変退色が早く(こちらの記事参照)、艶調整剤は塗料中の相対的な樹脂量を減らすことにつながる。遮熱性能があると言えば付加価値にも聞こえるが、遮熱調色による早期退色を現場で経験してきた施工業者からは、遮熱塗料を敬遠する声も多く聞かれる。

耳ざわりの良い塗料の付加価値は、塗料本来の耐候性と天秤にかけて付されているものもあり、そしてそのデメリットは最終ユーザーである施主に適切に伝わっていないケースが多い。

そのような葛藤から解放するためのヒントは、自動車の板金塗装と同じ4工程塗装にあった。
従来のエナメル塗料に負担させていた様々な機能のうち、隠ぺいや色調を担う着色層と、耐候性を担保する強力な保護クリヤー層とを役割分担させ、それぞれが専業で役割を果たすことを設計の主眼に置いた。

しかし、工程数が従来より増えることは実際の現場には本来受け入れられにくい。出来るだけ現場にかかる負担を最小限にしつつ、そのコストと秤にかけて有り余るほどのメリットをもたらすことが市場に受け入れられる最低条件であると言える。

また、エナメル塗料仕上げにただ単に汎用クリヤー塗料を重ね塗りするだけでは数年でのひび割れや白化等の懸念もあった。そのため、インテグラルコートではサイディング等の基材ではなく上塗塗膜への付着性と安定性を重視し十分に検証を重ねた。

インテグラルコートの特長

この工法は自動車の板金塗装と同じ工程であり、インテグラルコート は板金塗装の最終工程であるクリヤーコーティングに相当する。

外壁塗装においても、隠ぺいや着色を担うエナメル層と、耐候性を担うクリヤー層の工程を分けることは、塗膜の耐候性に大変大きなメリットをもたらす。

エナメル塗料には白色顔料や着色顔料、艶調整剤などが必要不可欠であるが、色褪せ、チョーキングといったいわゆる塗り替えサインもそれらを要因として引き起こされることはよく知られている。

保護クリヤー層となるインテグラルコート には着色顔料や酸化チタンは配合しないため、当然それ自体は退色はせず、ラジカルが発生することもない。また経年後にチョーキング現象として表層に現れてしまう固形物も少ない。その代わりに、紫外線の波長域ごとに吸収係数の異なる様々なUVA銘柄の選定と配合に注力した。


さらに、紫外線吸収基を樹脂そのものに組み込むことで経年によるブリードアウトを防ぎ、紫外線の吸収とエネルギー変換をより長期的に繰り返すことができる。

実際の施工では、現場で塗布される膜厚によっても紫外線の遮蔽率は異なるものの、インテグラルコートは特に300〜350nmの紫外線を効果的に遮蔽し、エナメル層への紫外線ダメージを最小限に留めることができる。

その塗膜保護効果は、従来の3工程エナメル塗装に比べ圧倒的な劣化速度の差となって現れる。キセノンランプ(180W)による促進試験では、インテグラルコート1回塗りで光沢保持率、色差ともに大きな差が見られた。単純に紫外線の透過を防ぐほか、エナメル層のラジカル発生をも抑制し、樹脂や顔料を効果的に保護できていることがわかる(促進耐候性試験についてはこちらの記事参照)。

エナメル塗料の種類によっては、表層のインテグラルコート よりも先に内部のエナメル層の劣化が進むことによって層間剥離や白化が起こることも想定された。しかし、紫外線吸収性能を繰り返しテストしていく中で次第に懸念は払拭され、比較的耐候性の低いエナメル塗料でも問題のない試験結果を得るに至った。

またインテグラルコート は、早期の変退色リスクが高い遮熱塗料の保護に特に効果的である。遮熱塗料の変色トラブルは、戸建住宅向けに濃色タイプの遮熱塗料が投入された頃から頻発しており、施主からの要望は多いものの、現在でも変色クレームの不安を拭えない施工業者は少なくない(こちらの記事参照)。

遮熱調色による配合顔料の耐候性が異なることから起こるトラブルだが、やはり同様にインテグラルコートで保護することで紫外線は保護層でカット、近赤外線はエナメル(遮熱)層で反射、といった役割分担が成り立ち、積年の不安を一気に解消することができる。

今後の展望

塗料選定が販売商社や施工業者主導であった時代は、省工程で手離れの良い塗料がもてはやされ、多工程は敬遠された。塗料メーカーも、工程を増やすことは施主や施工業者への負担につながることから下塗り~上塗りまでの3工程仕様が現在までの主流となっていた。

しかし冒頭で述べた通り、住宅の塗替え市場では「せっかく塗るなら良いものを」という消費者の心理から高付加価値塗料が市場に広く受け入れられており、そのことは依然出荷量が伸び悩む建築用塗料であっても出荷金額は伸長していることからも裏付けられている。

インテグラルコート による4工程塗装が住宅の塗替え市場に一層普及していくことで、施主は耐候性を犠牲にすることなく、より自由に色や艶、機能性を選ぶことができ、施工業者も提案の幅が広がり売上や受注の拡大が見込める。そしてメーカー側にとっても塗料開発の視点が増え、新たなアイデアや研究が進むことで塗装業界全体の生産性向上に資するものと考える。

株式会社工文社『月刊 建築仕上技術』2021年10月15日発売号(VOL.47 NO.555)掲載


外壁塗装の4工程塗装についてはこちらの記事もぜひご覧ください。

保護コーティング材「インテグラルコート」の製品紹介ページはこちらhttps://prematex.co.jp/abouts/v/integralcoat