アクリル塗料やウレタン塗料が外壁塗装に使われることがほとんどなくなった現在、住宅塗装に使われる塗料の主流といえばシリコン塗料になります。
塗装業者のプランにも「シリコン塗装パック」や「シリコン塗装プラン」がお手軽な基本プランとして必ず入っています。
より高耐久なフッ素塗料や無機塗料と比べると、最低限なラインとも言えなくもないシリコン塗装ですが、予算などの兼ね合いもあり、「とりあえず…」という気持でシリコン塗装を選ばれてる方も多いようです。
ですが今、シリコン塗装であってもその耐用年数をさらに10年延ばし、20年以上外壁を保護し続けることができる画期的な塗装方法が、外壁塗装の主流になりつつあることをご存知でしょうか。
「そんな方法聞いたことがない」「塗装業者からそんな提案されていない」そうおっしゃる方もまだ多いかと思います。
今回は、そんな画期的な住宅塗装工法である「保護コーティング」について紹介します。
まさに今、塗り替えを検討中の方はもちろん、塗り替えを終えてしまった方も次の塗り替え時のために、きっと参考になるはずです。
目次
これまでの住宅塗装に保護コーティングがなかった理由
突然ですが、皆さんは自家用車をお持ちでしょうか?
大切な愛車であっても「うちの車、そろそろ塗り替え時かな……」などど考えるオーナーさんは日本にはほとんどいないと思います。
使用年数が住宅よりも短いこともありますが、よほどの自動車愛好家でもない限り、自動車は定期的な塗り替えをすることなく一生を終えられる塗装品質を持っています。
なぜ、自動車は住宅のように「塗り替え」をしないのか?
自動車と住宅の塗装では、塗装方法も異なるため一概に比較することはできませんが、実は塗装の耐候性に直接関わるひとつの決定的な違いがあります。
それは塗装の「最終工程」です。
自動車の塗装では、光沢感を出したり着色層の色褪せを抑制したりするために、最終工程に透明な保護コーティング(上塗りクリヤー)が施してあります。
それにより圧倒的な耐候性や強度がプラスされ、長期の屋外使用に耐えることができます。
一方、これまでの住宅塗装の最終工程は着色と保護を兼ねたエナメル塗料(上塗り塗料)による3工程の塗装が一般的であり、保護コーティングの工程はありませんでした。
エナメル塗料:顔料が入っている色がついた樹脂塗料
これまでの塗装業界の事情と背景
住宅も自動車のように工程数を増やして、着色層と保護層を役割分担したほうが、耐候性が向上するであろうことは容易に想像できるかと思います。
ではなぜ、住宅塗装は自動車の塗装工程にならうことなく、3工程のエナメル塗装仕上げに固執していたのでしょうか。
住宅塗装に保護コーティングがなかった理由、そこには業界の歴史的慣習と、商業的な理由の大きく2つが挙げられます。
理由1. ハウスメーカーの定める保証延長工事を受けるため
ひとつの理由として、住宅の場合は設備や躯体(建築物の構造部材)も含めてメンテナンスフリーとはいかないため、もともと定期的な修繕が為されるような「仕組み作り」がされていることが挙げられます。
例えば新築の場合、例外なく10年の住宅瑕疵担保責任保険がつきますが、売り主であるハウスメーカーや施工業者の定期点検を受け、外壁塗装をすることで延長保証を受けられます。
つまり裏を返せば、定期的な修繕工事を行うためには、経年で劣化する”それなりな”塗装でじゅうぶんなわけです。
施主としても延長保証は受けたいが、その度に高耐久な塗装で塗り替えをしていたのでは経済的に負担です。
冒頭で述べたように、住宅塗装の主流が最低限のラインであるシリコン塗装である理由もそこにあると言えます。
※住宅瑕疵担保責任保険:事業者が供給した住宅に瑕疵(欠陥)があった場合、その修繕や費用などの責任を事業者側(売り主)がその責任を負う保険。
理由2. 業界主導の塗料開発が行われてきたため
そのような背景の中で、外壁塗装にどんな塗料を使うかについては、実際に塗装する塗装業者や、流通を請け負う塗料販売店の意向と都合が大きな影響力を持っていました。
塗料メーカーは自社塗料の普及のために、施主のニーズというよりは、業者ウケの良い省工程の塗料、使い勝手の良い塗料、手離れの良い塗料を開発し、業者向けにPRしてきた経緯もあります。
工程を増やして手間をかけ、工期も長くしてしまう塗装方法は必要(とされ)なかったのです
住宅塗装業界に求められる「変化」
持続可能な社会が必要とされる現在、住宅はスクラップアンドビルドからストック活用への転換が求められています。
それにともない外壁塗装も、省工程からメンテサイクルの長期化を可能にする高耐候性へとシフトしてきました。
ラジカル制御形塗料や無機塗料もその一例です。
弊社では有機HRC樹脂塗料という30年超耐久の塗料を開発しましたが、その反面、さらにそれを凌ぐエナメル塗料開発は今後容易ではないと考えています。
例えば40年や50年の期待耐用年数を謳う外壁塗装を提案されたら、逆にその信憑性を疑うかも知れません。
また、近年インターネットの普及と情報量の増加にともない、施主自身が塗装業者はもちろん塗料までを選べるようになりました。
塗料の選択権は業者から施主へ移り変わったことにより、省工程や使い勝手という施工目線の付加価値は消えつつあります。
これまでの3工程の塗装慣習と固定観念から脱却し、従来の塗装のメンテナンスサイクルを10年以上向上させることを可能にする保護コーティングの登場は、そのような時代の変化に応えた「必然」ともいえます。
保護コーティングがもたらすさまざまなメリット
保護コーティングは、シリコン塗装でも20年以上持たせることができる画期的な塗装工法ですが、ただ単に耐候性を延ばすだけではありません。
例えばエナメル塗装の場合、色調や艶によって塗料の耐候性が左右されることは以前述べた通りです。
ですが、保護コーティングによって耐候性を確保することで、耐候性の不安なく安心して自由な色と艶を選べるようになります。
また、遮熱塗料はその機能性と引き換えに変色や退色の不安がありますが、遮熱塗料を保護コーティングすることで、そのリスクを回避し遮熱性能を長期的に維持することもできるようになります。
弊社で行いました遮熱塗料への塗布試験がございますので覧ください。
遮熱塗料については、以下の記事で詳しく紹介しています。
あらゆる上塗り塗膜の耐候性を延ばす保護コーティング
保護コーティングは、あらゆる上塗り塗膜に使用できる点もメリットのひとつです。
汎用的なエナメル塗料はもちろん、石材調仕上材、ジョリパット(フレッシュ)などで塗り替えを検討されている方も、保護コーティングにより、さらに耐用年数を延ばす塗り替え工事が可能です。
おわりに
シリコン塗装を耐用年数20年以上する画期的な住宅塗装工法、保護コーティングについて紹介しました。
住宅ストック活用型社会が進行する現在、住宅塗装は保護コーティングありきの「4工程塗装」の時代を迎えました。
ですが、塗装工程が増えるわずらわしさからか、積極的に提案していない“保守的な”塗装業者もまだいらっしゃるようです。
もし、塗り替えをお願いしている塗装業者からこれまで通りの3工程の塗装を提案されたら、4工程塗装について相談してみることをおすすめします。
弊社で発売している保護コーティング材「インテグラルコート」の製品紹介ページはこちらhttps://prematex.co.jp/abouts/v/integralcoat