一般的に外壁塗装の目安はおよそ10年ごとと言われていますが、塗装工事は決して安い金額ではありません。
ですので、「塗り替えって本当に定期的にする必要あるの?」「建物が汚れているのを我慢すればいいのではないか」と、お思いの方もいるかもしれません。
しかし、それは大きな代償を払う可能性があります。
外壁塗装をしなくてもすぐに問題が起きるとは限りませんが、お住まいのことを考えるのであれば、後々に大きなトラブルが起きる前に適切なタイミングで行うことが大切です。
今回はなぜ外壁塗装が必要なのか、またしないことで起こりうるリスクについて解説をしたいと思います。
目次
外壁塗装の目的
塗装工事の目的は建物の美観を維持、回復するためだけではありません。
美観の維持も目的の一つではありますが、最も重要な目的は塗装(塗膜)でお住まいの保護をすることにあります。
建物は日々紫外線や風雨に晒されています。塗装はそういった劣化を進行させる要素からお住まいを守り、寿命を延ばす役割があるのです。
外壁材だけでは建物を守りきれない
一般的に広く住宅に使われている外壁材自体の防水機能は十分ではありません。
そのため工場出荷時に塗装を行い防水機能を付加しています。
しかし、一般的な塗料による塗装防水は紫外線や風雨により7年~10年ほどで効果が失われてゆきます。
そのまま放置すれば雨水が建物に侵入し、徐々に内部を腐食させ建物の寿命を縮めることになります。
そうならないためにも、定期的な外壁塗装でお住まいを守ることが必要なのです。
塗り替えのサイン
外壁塗装の目安はおよそ10年と冒頭で述べましたが、塗り替えのタイミングは、お住まいの出すサインで知ることができます。
- 艶が落ちてくる
- 汚れが目立つようになる
- 色が褪せてくる
- チョーキングが出てくる(手で触ると白い粉が付く)
- 水分を吸い込むようになる
- 藻や苔が発生してくる
- クラック(ひび割れ)が出てくる
- 建物内部に水が浸入する
サインとは、ずばりお住まいの劣化症状のことです。劣化の進行度合いを把握することで、適切な
メンテナンスのタイミングが分かります。
7番まで放置してしまうと、塗装以外に補修などの費用が発生しますので、できれば6番の段階までに塗り替えをしていただくのがお勧めです。
塗り替えをしないとどうなるのか
では、もし塗り替えのサインを見逃したり、放置したまま外壁塗装を行わないとどうなるのでしょうか。
起こりうるトラブルについて紹介していきます。
1. 外壁にひび割れ(クラック)が発生
塗膜の防水性能が落ち外壁材が水分を吸い込むようになると、雨の日に水分を含み膨張し、晴れの日に乾燥して収縮するということを繰り返します。
この膨張、収縮の繰り返しで外壁に負荷がかかり、やがてクラックが発生します。
2. 凍害
外壁にクラックが発生すると、外壁材が常に水分を含んでいる状態になりやすく、冬になると外壁材が水分を含んだまま凍結します。
水が氷になると体積が増えるため膨張し、ひび割れが大きくなり破損が起こります。
3. サイディングの反り、浮き
窯業系サイディングは常に温度や水分による膨張と収縮を繰り返しています。
塗膜が劣化し防水性能が落ちると、サイディングはより多くの水分を含むことになり、今まで以上に大きく膨張、収縮します。
それを繰り返すことにより反りや浮きが発生し、その隙間から雨水が浸入していきます。
シーリングの破断
外壁に使われるシーリングには、外壁材同士がぶつかり合わないようにする緩衝材と外壁材の隙間を埋め雨水が内部に侵入するのを防ぐ役割があります。
経年劣化により柔軟性が失われたシーリングは、建物の動きに追従できず剥がれや破断が発生します。
そうなってしまうと防水性も失われ、建物内部に雨水が浸入するようになります。
雨漏り
外壁から雨水が浸入しても、初期の段階では外壁内部にある透湿防水シートや断熱材に浸透するため、なかなか症状に気づくことはありません。
内装の壁紙に到達するころには、すでに雨漏りが始まってからかなりの時間が経過していることが多く、建物の腐朽の大きな原因となります。
建物内部の腐朽
建物内部に雨水が浸入するようになると、柱や梁などの木材が水分を含み腐朽していきます。
木材の強度を低下させ、建物の寿命を著しく縮めてしまいます。
おわりに
なぜ塗り替えが必要なのか、また塗り替えをしないことで起こりうるトラブルについて解説をしました。
塗装工事は安いものではなく、200万円を超える工事も珍しくありません。
だからと言ってメンテナンスを怠れば、トラブルの補修にかかる金額や手間は塗装工事と比べても負担が大きく、結果としてその代償は非常に大きなものになってしまいます。
そうならないためにも、今回紹介したような塗り替えのサインが出ている場合には、信頼できる塗装業者に外壁診断(現場調査)を依頼することをおすすめします。
これにより劣化状況を正しく把握することができ、今後どのようなメンテナンスをどれくらいの時期に行えばよいのか目安がつきます。
メンテナンス時期がわかることで、費用についても計画的に準備することができるので家計への負担を最小限に抑えることができるでしょう。