【外壁塗装で失敗しないために】知っておくべき塗料の反応硬化不良とは

塗料の反応硬化不良とは
塗料
塗料の反応硬化不良とは

住宅の塗り替えに使用される塗料には1液型塗料と、主剤と硬化剤に分かれた2液型塗料があるのはご存じでしょうか?

2液型塗料は1液型塗料よりも密着性に優れるなどの大きなメリットがある反面、主剤と硬化剤の配合ミスなどによって簡単に硬化不良を引き起こすというデメリットがあります。

この反応硬化不良の怖いところは、塗装直後の見た目には全く問題がないように見える点です。
ですが、わずか数年で色褪せや艶が落ちるなどさまざまなトラブルが発生します。

今回は反応硬化不良が起きる要因や事例、そして反応硬化不良を起こした塗膜は経過とともにどうなってしまうのか、実際に行いました促進耐候性試験もあわせてご紹介します。

これからご自宅の塗り替えを検討されている方、また塗装業を営んでいる方もクレームや会社への信頼低下といった無用なダメージを避けるためにも、知っておいて役立つ内容となっております。

反応硬化不良が起きる要因

まず、なぜ2液型塗料の反応硬化不良が起きてしまうのか。その主な要因を5つご紹介します。

①目方配合・配合ミス

2液型塗料は、塗料ごとに主剤と硬化剤の混合比率が厳密に定められており、必ず秤(はかり)で量って調合することを推奨しています。

適当な目分量など、アバウトな調合では適正な塗膜形成は期待できません。

②混錬不足

主剤と硬化剤が十分に触れ合わないと、均一な硬化反応は得られません。

塗料缶を使って攪拌(かくはん)する場合も、電動撹拌機を使用して缶の底や隅まで入念に混ぜることが重要になります。

③劣化在庫の使用

塗料の使用期限はメーカーや製品により異なりますが、未開封で数ヶ月から1年と規定しているものが多く、開缶後はできるだけ早く使用することを求めています。

開封した塗料は、時間の経過とともに空気や水分と反応していきます。

ひとたび空気や水と反応してしまうと、いくら硬化剤と調合しても十分な反応硬化を得られなくなってしまいます。

④可使時間(ポットライフ)超過

可使時間とは、主剤と硬化剤を混ぜてから使用できる時間(最長時間)のことを指し、「ポットライフ」とも言います。

可使時間を過ぎた塗料は、一見塗装できるような状態であったとしても、塗膜本来の性能が発揮されないため塗装をしてはいけません。

十分な付着力が得られないなど、経年での不具合リスクが高まります。

⑤高湿や低温下での塗装

2液型塗料は水分と反応しやすいものが多いため、造膜(塗料が硬化して塗膜になる)中の湿気や降雨は厳禁です。

以前の記事でも紹介しましたが、一般的な塗料は、気温5℃未満、湿度85%以上の気候条件下では塗装を避けるよう注意書きがされています。

ですから、雨の中での塗装はできませんし、雨が降りそうな場合の塗装や結露の危険性が高まる夕方の塗装もなるべく避けたい条件となります。

また低温下では乾燥(硬化)が遅くなり、乾燥中にチリやホコリ、水滴がつきやすくなるなどの環境条件の影響を受けやすくなるため、5℃以下での施工も避けるべきです。

外壁塗装に適した条件についてはこちらの記事で詳しく説明しています。

反応硬化不良の事例

次に、反応硬化不良の事例を紹介します。

①上塗り工程でリフティングが発生

リフティングとは「チヂミ」とも言われ、塗膜上にシワができる状態のことを言います。

リフティング

リフティングの要因はさまざまありますが、この事例では、見た目上は成膜してるように見えた中塗りが実際は反応硬化しておらず、上塗りによって溶解してしまったため塗膜が引っ張られリフティングを起こしてしまっています。

②インテグラルコート(保護コート)を塗装した際に溶解

近年、上塗り材を保護コーティングする4回塗り(下塗り+中塗り+上塗り+保護コート)が人気ですが、この事例では保護コートを塗装する際に、反応硬化していなかった着色層(上塗り塗膜)が保護コート材の溶剤成分によって溶解してしまいローラーに付着しました。

しっかりと反応硬化していれば、4回塗りをしても溶解することはありません。

保護コーティング(4回塗り)についてはこちらの記事で詳しく説明しています。

③塗装後わずか1年で塗膜が艶落ち・色褪せ

塗装工事後の1年点検時に発見された艶落ちや色褪せのトラブルです。

正常な塗膜の場合、1年程度で艶落ちや色褪せを起こすことは考えられませんので、施工環境や仕様、工程に問題がないとすれば硬化不良の可能性が高いといえます。

塗料用シンナーで塗膜を拭いて溶解が確認できた場合、更なる艶落ち、色褪せや早期の塗膜剥離が起こる可能性が高まります。

反応硬化不良を起こした塗膜の促進耐候性試験

正常に反応硬化をした塗膜と反応硬化不良を起こした塗膜では、経年変化にどのような差が生じていくのでしょうか。

実際に耐候性試験を行い検証しましたので、その結果をご覧ください。

【塗料】ケイセラⅡ(期待耐用年数15年以上)
【促進耐候性試験機】メタルハライドランプ
【試験時間の目安】40時間で1年の暴露相当

促進耐候性試験後の比較写真をご覧いただければ、一目瞭然かと思います。

塗膜の劣化は、 『艶が落ちる』→『変退色』→『塗膜の剥離』という順番で起こります。

試験の結果、正常に反応硬化した塗膜は艶が落ちる程度にとどまっていますが、反応硬化不良を起こした塗膜は、酷いものでは塗膜表面に大きく異常が生じています。

次に光沢保持率の試験結果のグラフをご覧ください。こちらも明らかな差がみられます。

JIS A 6909の耐候形(1種)基準では、2,500時間経過後、光沢保持率が80%である事が条件ですが、反応硬化不良を起こした塗膜は、正常に反応硬化した塗膜の半分以下の時間で80%を下回ってしまうという試験結果が出ています。

色差試験についても同様で、正常な塗膜に比べ、反応硬化不良を起こした塗膜は早い段階で変退色が始まっているのが見て取れます。

反応硬化不良はさまざまな施工トラブルに発展する要因になる。ということをご理解いただけたかと思います。

塗料の促進耐候性試験についてはこちらの記事で詳しく説明しています。

おわりに

今回は塗料の反応硬化不良の要因や事例、そして実際に反応硬化不良を起こした塗膜の促進耐候性試験の結果について解説しました。

反応硬化不良はメーカーの定める仕様に従い、きちんと配合、混錬、塗装をすれば防げる不具合です。
ですので、塗り替えの際には正しい施工を行う信頼できる施工店を選ぶことが重要です。 

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